東南アジア 少数民族の古布

 本展では、中国南部(雲南省・貴州省など)から東南アジア北部にかけての地域で暮らす少数民族(モン族とトン族)が織り成した古布を、彼らの生活に即する形とするために、「育(はぐくみ)」「祈(いのり)」「眠(ねむり)」「装(よそおい)」に分けてご紹介しています。
 さて、ここで展示している古布を見るだけでも、彼らが作り出す織布には様々な技法が使われていることが分かります。例えば、布に蝋で文様を描いてから染色する技法・ロウケツ染めや、色鮮やかな糸、時には銀糸も使いながら緻密な文様を描き出す刺繍などです。
 本展で多く展示している品に子守帯(こもりおび)があります。子守帯は、母親が我が子の健康・幸福を祈って縫い上げるもので、その一針一針に深い慈しみが込められています。モン族・トン族の身の周りにある布はどれも美しい色合いですが、その中でも特に子守帯が立派に作られていると言われます。
 モン族・トン族にとって重要な意味を持つ織布の一つとして祭壇飾りを挙げることもできます。宗教的な視点から見ると、彼らの多くは先祖崇拝を心の拠り所としています。したがって、宗教的な儀式で使用される祭壇飾りには先祖への強い崇拝の念や子孫繁栄の願いが込められていると言えるでしょう。
 一方で、普段の生活に用いるような衣装や寝具も様々な文様が取り入れられ、色鮮やかな作りとなっています。そして、ベースとなる染色に藍(あい)を用いていることが多いことも彼らの装いの特徴の一つです。藍には高い防虫効果があることも、山あいで暮らすことの多い彼らには好都合だったのかもしれません。
 以上のように、様々な想いと多くの技法を込めながら、永い年月に亘って守り継がれてきたものが少数民族の織布です。この機会に、その世界の一端に触れていただければ幸いです。そして、彼らの思想・生活に想いを馳せていただければ尚幸いです。

東南アジア少数民族の古布 展示目録
 育 はぐくみ
子守帯ミャオ/モン族中国・雲南省20世紀前期
子守帯 部分ミャオ/モン族中国・雲南省20世紀中期
子守帯 部分ミャオ/モン族中国・雲南省20世紀中期
子守帯 部分ミャオ/モン族中国・雲南省20世紀前期
子守帯 部分ミャオ/モン族中国・雲南省20世紀前期
子守帯 部分ミャオ/モン族中国・雲南省20世紀前期
子守帯 部分ミャオ/モン族中国・雲南省20世紀前期
子守帯 部分ミャオ/モン族中国・雲南省20世紀前期
子守帯 部分ミャオ/モン族中国・雲南省20世紀前期
子守帯 部分ミャオ/モン族中国・雲南省20世紀前期
子守帯 部分モン族ラオス北部20世紀中期
子守帯ブラックモン族ベトナム20世紀前期
子守帯トン族中国・貴州省20世紀前期
子守帯 部分トン族中国・貴州省20世紀前期
子守帯 部分トン族中国・貴州省20世紀前期
子守帯 部分トン族中国・貴州省19世紀後期
 祈 いのり
祭壇飾り 部分ミャオ/モン族中国・雲南省20世紀前期
祭壇飾りミャオ/モン族中国・雲南省19世紀後期
祭壇飾りミャオ/モン族中国・雲南省20世紀前期
 眠 ねむり
布団ミャオ/モン族中国・雲南省19世紀後期
布団トン族中国・貴州省19世紀後期
布団 部分(子供用)トン族中国・貴州省19世紀後期
 装 よそおい
上衣(男性用)ミャオ/モン族中国・雲南省20世紀中期
上衣(女性用)トン族中国・貴州省20世紀前期
上衣(女性用)ミャオ/モン族中国・雲南省20世紀前期
上衣(女性用)モン族タイ・ラオス国境部20世紀中期
前掛けミャオ/モン族中国・雲南省20世紀中期
前掛けミャオ/モン族中国・雲南省20世紀中期
前掛けミャオ/モン族中国・雲南省20世紀前期
上衣(女性用)ミャオ/モン族中国・雲南省20世紀後期
上衣(女性用)ミャオ/モン族中国・雲南省20世紀中期
上衣(女性用)トン族中国・貴州省20世紀前期
上衣トン族中国・貴州省20世紀前期
腰帯(女性用)ミャオ/モン族中国・雲南省20世紀前期
腰帯モン族タイ・ラオス国境部20世紀中期
頭巾(女性用)トン族中国・貴州省20世紀前期
襟飾り(子供用)トン族中国・貴州省20世紀前期
頭巾 部分(女性用)トン族中国・貴州省20世紀前期
頭巾 部分(女性用)トン族中国・貴州省20世紀前期