夏季常設展 百鬼夜行図帖と源平合戦図屏風

 今常設展では1階部に木造仏を中心とした12点を展示し、2階部では『百鬼夜行図と源平合戦図屏風』展を行っております。
 仏像の姿形・作られ方は時代によって大きく変わりますが、印相(手の形)には決められた法則があります。そこでここでは、金剛館1階に展示している仏像の印相について簡単ご紹介します。
 仏教の始祖・釈迦の姿を表した釈迦如来立像は、胸辺りで掌を前に向けた右手(施無畏印《せむいいん》)と、下に垂らして何かを与えようとするような仕草の左手(与願印《よがんいん》)を併せた印相を持っており、信者たちの願いを叶えるという意志を示しています。もう一つ特徴的な印相を持つ仏像が阿弥陀如来立像です。右手左手ともに親指と人さし指で輪を作り、右手を胸の前に、左手を下に垂らしており、上品下生印《じょうぼんげしょういん》と言います。また、信者の臨終に際して極楽浄土から迎えに来る時の印相であることから、来迎印《らいごういん》とも呼ばれます。
 幾つかの印相をご紹介しましたが、それらは各仏様の本願(誓い)を表しています。手が口ほどに物を言う仏様の姿にもご注目いただければ幸いです。
 つづく2階部では、初めに百鬼夜行図帖を初めに展示しています。百鬼夜行図とは、鬼や、道具類に魂が宿った付喪神(つくもがみ)、動物の妖怪たちを描いた絵のことを言います。「百鬼」と聞けば怖いイメージが湧いてきますが、実際に見てみるとそのイメージが見事に覆されます。頭に鍋のふたをのせて走る赤鬼、後ろを振り向いてハッとした表情の蛙妖怪などはどこか間の抜けた感じです。さらに、黒い大きな布の妖怪を驚かそうとしている扇子妖怪は、驚くどころか逆に笑ってしまいそうな姿ですし、琴妖怪を引っ張る琵琶妖怪の顔は傑作です。このように百鬼夜行図帖は、数百年前の人々の豊かな想像力とユーモアが強く感じられる作品と言えます。またこの度の展示では、百鬼夜行図に描かれている道具類の一部を紹介するコーナーも設けています。
 さて、2階展示のもう一つの主要展示品が源平合戦図屏風です。同屏風は向かって右側に一ノ谷の戦いを中心とする場面が描かれ、左側には屋島の戦いが描かれています。金雲を配置することによって異なる時空の出来事を一枚の屏風絵の中に納めており、源平合戦の見どころをよく表現しています。もう1点の合戦図屏風も、白旗と赤旗の武士が描かれていることから、源氏と平氏の戦いを描いたものではないかと考えられます。
 最後に、北野天満宮縁起絵巻をご紹介します。この絵巻は京都・北野天満宮が建立されるまでの経緯を描いたものです。作成当時は詞書もあったと思われますが、現在は絵画部しか残っていません。本来のストーリーとは前後する形で絵画が繋ぎ合わされていますので、恐らくは、何時かの段階で詞書きが切り離され、順序を違えて絵画が繋がれたものと思われます。
 以上の通り、本展では仏像から絵画まで幅広い展示品をご覧いただけます。また、瀬戸田小学校の昨年度の6年生が描いた現代版百鬼夜行図も展示しています。併せて、ごゆっくりご鑑賞いただければ幸いです。

夏季常設展 百鬼夜行図帖と源平合戦図屏風  展示目録
 1階部
品名形状指定時代
梵鐘銅造重要美術品室町時代
釈迦如来立像木造重要文化財平安時代
浄土曼陀羅刻出龕木造截金重要文化財平安時代
宝冠阿弥陀如来坐像木造漆箔重要文化財鎌倉時代
阿弥陀如来立像木造漆箔重要美術品鎌倉時代
阿弥陀如来立像木造截金彩色重要文化財鎌倉時代
阿弥陀如来立像木造漆箔 鎌倉時代後期
地蔵菩薩立像木造彩色 鎌倉時代
増長天立像木造 平安時代
持国天立像木造 平安時代
阿弥陀三尊像木造漆箔 鎌倉末期~南北朝時代
狛犬木造 鎌倉時代
 2階部 百鬼夜行図と源平合戦図屏風
品名形状指定時代
百鬼夜行図帖紙本着色 江戸時代後期
梅樹双鳥鏡銅製 室町時代前期
山月双鳥鏡銅製 室町時代前期
五徳鉄製  
阿含正行経紺地金泥重要美術品文治元年(1185)
龍頭幡頭銅製鍍金重要美術品鎌倉時代
錫杖頭銅製重要美術品永正七年(1510)
銅製  
鰐口銅製 元暦元年(1184)
源平合戦図屏風紙本金地着色 江戸時代前期
合戦図屏風紙本金地着色 江戸時代前期
北野天神縁起絵巻紙本着色重要美術品室町時代中期
銅製鍍金重要美術品室町時代
特別展示
平成23年度瀬戸田小学校6年生制作 現代版百鬼夜行図