2012年度冬季企画展 宝船

 門松・しめ縄に年賀状など、新春の縁起物・風物詩は数多くありますが、現在ではあまり見られなくなったものも幾つかあります。今展に出品している「宝船」もそうしたものの一つと言えるかも知れません。
 日本では室町時代頃より武士階級を中心に、元日や節分の夜に宝船を描いた紙(これ自体も「宝船」と呼ぶ)を枕の下に敷いて寝ると良い夢が見られると信じられてきました。やがてこの風習は民衆にも広がり、昭和初期には、大阪を中心に「宝船」収集が大流行しました。コレクター同士が「宝船」を交換しあう頒布会(はんぷかい)が度々開催され、縁起物として神社からも多く頒布されました。このブームの特徴はコレクターと制作(頒布)者が同一の場合が多かったことにあります。つまり、「宝船」マニアとも言えるようなファンによってブームが支えられていたのです。
 さて、そうした「宝船」の魅力を紹介する今展は、全体を3つのセクションに分けています。初めのセクションでは「宝船」のデザイン性の高さを紹介するために、比較的ベーシックなものから一風変わったものまで、デザインの区分を設けたうえで59点の「宝船」を展示し、続くセクションではコレクターズアイテムとしての「宝船」にスポットを当てるべく、「宝船」絵葉書や「宝船」のコレクションブックなどを展示しています。そして、最後のセクションでは「宝船」ブームを支えたマニアたちの“遊び心”を紹介する意味を込めて、幾つかの美術品を組み合わせて作った宝船を展示しています。
 この機会に、遊び心溢れる「宝船」の世界に触れながら、「宝船」マニアたちの熱狂ぶりに想いを馳せていただければ幸いです。

※1 区別しやすくするために、今展では絵としての宝船を「宝船」と表記しています。
※2 一般的に「宝船」は版画の形で制作され、頒布のたびに一定枚数が摺られました。

金剛館 展示目録
常 設 展 示       (1階)
品名形状・材質など指定時代
梵鐘銅造重要美術品室町時代
釈迦如来立像木造重要文化財平安時代
浄土曼陀羅刻出龕木造截金重要文化財平安時代
宝冠阿弥陀如来坐像木造漆箔重要文化財鎌倉時代
阿弥陀如来立像木造漆箔重要美術品鎌倉時代
阿弥陀如来立像木造截金彩色重要文化財鎌倉時代
阿弥陀如来立像木造漆箔 鎌倉時代後期
地蔵菩薩立像木造彩色 鎌倉時代
増長天立像木造 平安時代
持国天立像木造 平安時代
阿弥陀三尊像木造漆箔 鎌倉末期~南北朝時代
狛犬木造 鎌倉時代
冬季企画展 宝船     (2階)
品名形状・材質など作者時代
宝船(59枚)版画 昭和12年
宝船絵葉書交換会々員名簿版画 昭和8年
宝船絵葉書交換会々員証版画 昭和8年
宝船絵葉書(70枚)版画 昭和8年
宝船収集帖 附 宝船(2枚)  昭和12年
絵葉書収集帖 附 宝船絵葉書(4枚)  昭和8年
宝船貼付帖 附 宝船  昭和8年
日ノ出紙本着色/色紙北野恒富昭和
舟形花入竹製藪内桂隠斎江戸時代後期
日ノ出紙本着色/色紙平井楳仙昭和
舟形花入竹製藪内猗々斎昭和
三保浦絹本着色川村曼舟昭和
唐銅舟形風炉銅製 江戸時代前期